メディア芸術祭

毎年、この時期、国立新美術館へおもむくことが
ここ数年恒例化してきてる。
今年は、休日の夕方だったので、想像以上の人の入りで、
ほとんどの展示を見ることができなかったけれど、
アニメーション部門のインスタレーション
作家の皆様の創作行程についてのお話を聞くことができた。


イベントのお手伝いなどをさせていただいている
Flau所属のアーティストのCuusheさんの楽曲
Airy Meの歌詞を久野遥子さんが耳コピーして読み解きつつ、
ストーリーを作成し、このアニメーション作品が製作されたとのこと。
”後半になるにつれて反響音、空間を感じさせる音が聴こえ、ドラマチックである”
と楽曲について語っていた。
(色鉛筆を使用、特にその効果としては、約3000枚もの絵を書き続けていた
自分の気持ちを励ますために色を使用したともおっしゃっていたり、
友人の方、あるいは自ら体を張った−アニメーション内で、ナースが転んだシーンなど−
動きを動画で撮影し、それを元に絵を起こしていったり、
細かな建物の背景などは、下書きだけで一時間をかけてしまう程、緻密で繊細。
3Dなどの参照無く、描かれたそう。
一般的なアニメーション制作では中割りという手法が使用されるが、
久野さんはこの作品の進行中にその手法を知ったというほど、独自の方法で製作された模様。)
そしてこの作品が、今回メディア芸術祭アニメーション部門で新人賞を受賞された。


久野さんは多摩美術大学のグラフィック学科でアニメーションを選択。
グラフィック学科の花形と言えば、広告だそうですが、
大きな制約のないアニメーションに魅力を感じ、
3年次の課題として、Airy Meの製作を開始。
その後1年半もの歳月をかけて、大作を完成させ、
結果的にこの作品を卒製として提出されたそう。
久野さんは大学入学前よりマンガの製作も行われていたが、
マンガでそのぼんやりと描きたいイメージ映像を表現するとなると
どうしても、説明が多くなってしまったり野暮ったくなってしまう。
そのイメージを伝えられる手法をずっと考えていたところ、
アニメーションであれば、多くの説明を省いても
わかったような気になれる作品が作れるのではないかと思ったのだそう。


受賞おめでとうございます。
初めてこの作品を見たとき、
なんとなく、末恐ろしい才能を見た気がする・・・と、
Flauスタッフが口々をそろえていたことを思い出しました。